白薔薇来訪からお読み下さい。

白薔薇邂逅

 

「元気にしていた?蓉子ちゃん」

「はい。おかげさまで」

「祥子ちゃんに…あら、その子はもしかして?」

「はい。私の妹の祐巳です」

祥子が誇らしげに祐巳ちゃんを前に出した。

「はっ、はじめまして!」

お姉さまを目の当たりにしてガチガチの祐巳ちゃんは、勢い良くお辞儀した拍子に、テーブルに思いきり頭をぶつけた。

彼女は相変わらず、無意識に場をなごませる天才だ。

くすくすと笑うお姉さまに、私もつられて笑った。

 

 

その時、背後のビスケット扉が静かに開いた。

「お姉さま…!」

戸口には、志摩子がびっくりした顔で立っていた。 それはそうだろう、卒業したばかりの自分がこんなところにいるとは、夢にも思わなかっただろうから。

私は小さく手を振って、いつものように志摩子を迎えた。

「あ…失礼しました。お客様がいらしていたのですね」

見知らぬ客に気付いた志摩子は、すぐに持ち直して、しとやかに頭を下げた。

 

 

「あら…」

目聡いお姉さまは、志摩子の袖口から覗くロザリオに気付いたようだった。

…それはお姉さまがくれた、そして、私と志摩子をつないだロザリオ。

「そう…」

志摩子を見、私を見て、お姉さまは華やかにほほえんだ。

私は表情の選択に困った。たぶん、顔が赤かったと思う。


(もし恩返ししてくれる気持ちがあるなら、別の誰かに返してちょうだい。―――そうね、あなたの未来の妹にでも)


あの時、今さら妹なんか、と鼻で笑った私に、お姉さまは同じようにほほえんでいたっけ。

 

 

「ごめんなさいね、驚かせてしまったかしら?」

「いえ…」

「私は―――」

名前を名乗ると、志摩子に顔を向けたまま、お姉さまは私の肩にそっと手を置いた。

「昨年の今ごろまで、白薔薇さまと呼ばれていたこともあるのよ」

「!……それじゃあ……」

さらなる驚きに、志摩子の目がまん丸になった。 思えば、この子のこんな顔を見るのは初めてかもしれなかった。

「はじめまして」

そう言って、お姉さまはもう一度ほほえんだ。

 

完全にストーリーものになってるなー(^^;。

2004.02.12

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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